【薬膳インタビュー】和田 暁先生 高級中医薬膳伝授師授与インタビュー

平成27年9月、楽食Storyでもインタビューさせていただいたことのある和田暁先生が、世界中医薬学会連合会より「高級中医薬膳伝授師」の称号を授与されました。そこで、高級中医薬膳伝授師について和田先生に詳しくお話を伺いしてきました

国際中医薬膳管理師会会長 和田 暁先生
国際中医薬膳管理師会会長 和田 暁先生

先生のご経歴を改めて教えていただけますか。

私は、上海中医薬大学を卒業後、同大学付属病院漢方医師として勤務していましたが、昭和大学での研修のために来日しました。
その後、「医食同源」という言葉を提唱していた臨床医・新居裕久氏と出会い、薬だけで治療するのではなくおいしいものを食べて毎日の食事から健康をつくっていくという考え方に感銘し、薬膳普及の道へ進むことになりました。
それからは「医食同源」を“毎日の食卓”に届けることをモットーに、日本風土に合った薬膳の普及、提案活動を行っています。
私は、薬膳は決して難しくハードルの高いものではなく、とても身近でみなさんが家庭に取り入れられるものだと考えています。その思いを届けるべく薬膳の基礎知識から料理のレシピ、組み合わせ方をたくさんの人に伝えていきたいと活動してきました。

今回、世界中医薬学会連合会から称号を授与されたとのことですが、「世界中医薬学会連合会」とはどのような団体なのでしょうか。

北京に本部がある167ヶ国の団体会員で加盟する最大規模の中医学学術団体で、中医学の普及に取り組んでいます。また、国際中医師、国際中医薬膳管理師、国際鍼灸師などの資格を世界共通基準により認定している団体です。

いつも気さくにわかりやすくお話くださいます
いつも気さくにわかりやすくお話くださいます

世界中医薬学会連合会から授与された「高級中医薬膳伝授師」とはどのような称号なのでしょうか。

薬膳の分野にて、これまでの薬膳普及活動や研究が認められ、これからさらに活躍することを期待された称号だと思っています。
この称号は、病院での臨床経験や公的機関・学術団体での講演活動数、学報や専門雑誌での発表件数、学術著書数、社会貢献活動、調理技術、論文などの審査やたくさんの学術関係者、教授などからの推薦も必要でした。
このような名誉ある称号をいただけたのは推薦してくださった多くの権威ある方々や、毎日の活動を支えてくれている皆様、薬膳を私と一緒に普及してくださっている方たちのおかげだと思っています。

和田先生の研究テーマは、世界各国から注目されているそうです
和田先生の研究テーマは
世界各国から注目されているそうです

論文が必要だったということですが、和田先生はどのようなことを研究されていたのでしょうか。

女性の月経4周期にあわせた食事でのアプローチを研究し、まとめました。
月経に関する悩みやPMSについても薬膳で養生することで改善されます。月経を整えることが妊娠しやすい体作りもつながりますので、興味のある方が多いテーマだと思います。
中国では昔から、“育種先調経”、“経調自孕成”という言葉があります。これは、“妊娠にはまず月経を整えること”、“月経が整えば、自然と妊娠する”という意味です。その考えを実践に移すための和食を中心にしたレシピも考案しました。日本人のからだには日本の風土に合った食べ物が良いですからね。やはり和食がベストだと思います。

また、月経の不調には“冷え”が原因の一つに考えられます。
実は、この“冷え”や“不妊”は日本人だけの問題だけでなく世界の女性の共通の悩みなのです。ブラジルでも冷えに限ったことではありませんが積極的に鍼灸治療が取り入れられていたり、ギリシャでも不妊専門の研究がなされていたり。オックスフォード大学でも漢方による不妊治療研究が進んでいると聞いています。

今回の私の論文がこうした研究の一助になれば幸いですし、また、逆に世界の研究を日本の皆さんに伝えていくことが「高級中医薬膳伝授師」の役目だと思っています。

今回の授与式はスペイン バルセロナで行われたそうですね。

世界中医薬学会連合会は毎年世界各国で学会を開催しています。今回のスペイン学会では、授与式には30カ国以上の国から1,000名以上の参加されていました。世界中の医師や鍼灸師、漢方薬会社の方などが参加されていましたので、私も色んな国の方々からお話を聞くことができて大変勉強になりました。来年はオーストラリアで開催されます。

和田先生と黒川先生、これから何をしていくか、熱く語っておられます
和田先生と黒川先生、これから何をしていくか、熱く語っておられます

これから先生はどのような活動をされていかれるのでしょうか。

現代病の一つとしてアレルギーも大きなテーマだと考えています。
今は耳鼻科にくる患者のうち、アレルギー症状の方が急増しています。皆さんもまわりに何かしらのアレルギーを持っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。このアレルギーも食養生が効果的です。

また、町おこしにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。その土地ではぐくむ生命には、その土地の食物が最適です。私たちが日ごろよく目にする食材はもちろん、まだ日本ではその育成が少ない薬膳食材を使うことで、産地の活性化を図ったり薬膳を広めていきたいと考えています。

和田先生、黒川先生ありがとうございました。
和田先生、黒川先生ありがとうございました。

和田先生、この度は、高級中医薬膳伝授師の授与、おめでとうございます。
これからのますますのご活躍を期待しています。

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